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開発における汚職・腐敗の定義

 
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世界平和の実現を目指す
現役の高校教員

幼・小・中・高・大学での教員経験あり

専門は、教育・国際教育協力・ブータン王国
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開発という言葉を少し深掘りして知りたい方はこちらをご確認お願いします。

 

国際社会は1990年代後半から汚職と闘うことを決めました。汚職が蔓延している国はそうでない国と比べ、海外からの投資率が5%低いことや、汚職により途上国では年間140兆円の損害が生じていることが発覚したからです。多くのODA(政府開発援助)が私服を肥やすために使用されているという報告があります。

 

そんな開発と汚職の関係について知ってもらいたいと思い、このシリーズを書くことにしました。

開発支援の光の側面に目を向けるのではなく、影に目を向けて初めてより良い開発支援ができるものだと思います。

 

今日は「汚職・腐敗の定義」についてです。

今回のまとめ
・汚職とは、制度化されていない「私的利用のための託された権力の悪用」

・腐敗とは、制度に組み込まれた「私的利用のための託された権力の悪用」

・国際的には汚職・腐敗の定義の違いがある。

・その違いは、国々の汚職の捉え方が違うから。

 

汚職の定義

  • 汚職とは、制度化されていない「私的利用のための託された権力の悪用」です。

そのことについて細かく見ていきましょ〜!

 

日本大百科全書(ニッポニカ)によると「公務員が地位や職務上の権限を濫用して私的利益を図る行為。もともとこのことばは、かつての刑法でいう涜職(とくしょく)にあたるが、第二次世界大戦後、漢字制限のため汚職と書くのが一般的になり、1995年(平成7)の刑法改正で涜職から汚職に改められた。戦前は、警察官の隠語でサンズイといえば普通、涜職つまり横領、恐喝、職権濫用、贈収賄など官職を涜(けが)す行為をさしたが、戦後は、汚職(昭和30年代ごろまではサンズイということばも使われた)即贈収賄をさすようになった。」

『広辞苑(第七版)』(岩波書店2018)によると、汚職とは、「職権や地位を濫用して、賄賂を取るなどの不正な行為をすること。職をけがすこと」と定義しています。「汚職」は、「瀆(とく)職」という語からきており、「職を瀆(けが)すこと。私欲のために職務・地位を濫用すること。」を意味しています。ブリタニカ国際大百科辞典(ブリタニカ・ジャパン2016)によれば、汚職は「私的な利益を得るために公務員がその権限を不当に行使する行為。多くの場合、民間人の要望に応えて行い、その代償としてサービス、金銭、地位などの価値を受け取る。ときには上位の公務員が下位者に対して不当な権限の行使を命令し、その代償を上位者が取り上げることや、上位の公務員の間で監督の緩和とその代償が交換されることがある。汚職は政府機能が広範であって、公務員の採用が情実に左右される場合、また公務員の裁量の幅が大きく、国民の監視が弱いといった場合に多く起きる。」としています。

 

日本においては基本的には公務員がその地位を利用して、私的な利益を行う行為が汚職ということになることがわかります。例えば、民間人は贔屓を公務員にしてもらう立場になり、その代わりに金品を差し出すというのが想像しやすい汚職になりますね。

 

汚職はまとめると「私的利用のための託された権力の悪用」になるのですが、それは一般的にイメージされるお金の贈収賄だけではなく、便宜を図る時にも当てはまるものです。

 

腐敗の定義

  • 腐敗とは、制度に組み込まれた「私的利用のための託された権力の悪用」です。

汚職との違いは、それが制度に組み込まれているか否かがポイントになります。それでは細かく見ていきましょう!

 

汚職が比較的個々人の不正行為をさすのに対して、腐敗はそれも含めて諸行為が制度や体制の一部となってしまっている状態を指します。例えば「社会的腐敗」「政治的腐敗」と言っても、「社会的汚職」「政治的汚職」とはあまり言わず、政治的腐敗と汚職との間の厳密な区別はなされていません。

 

汚職は不定期に行われるもの、腐敗や恒常的に行われるもの。センター試験の問題を事前に渡してお金をもらう行為は汚職ですが、ブラック労働をし続ける職場は腐敗状態だということですね。

国際ドナー機関が定める汚職・腐敗

ここまで紹介してきた汚職・腐敗の定義は日本の考え方です。他の国は国際ドナーの汚職・腐敗の定義も見ていきましょう!

国際ドナー機関のほとんどで、「私的利用のための公権力の濫用」「職権や地位を濫用する」、または「私的利益のための託された権力の悪用」といった定義が使用されています。アジア開発銀行(ADB)は、「私的利用のための公共あるいは民間の職権を悪用する」と、民間企業もカバーしていることが分かる。OECD外国公務員贈賄協定、敗防止協定(UNCAC)、そして欧州評議会(CoE)とアフリカ連合(AU)どの汚職防止協定では、汚職・腐敗の定義づけは行っておらず、その代わり汚職行為について記載されている。これに対して汚職・腐敗を防止・対処するための行動として、近年では透明性、説明責任、清廉性(インテグリティ)などが頻繁に使用されています。

 

どうやら国際的にも公務員が私的な利益を得るために行う活動が汚職となっています。ただ、民間企業が行う不正も汚職とADBは定義しているようです。また、腐敗についても定義がない国際機関もあるようです。

 

日本では基本的には民間企業が行うものは汚職としていません。それも含めて汚職と呼ぶ組織や汚職の定義はないですが、汚職行為を定めている国際ドナーがあることがわかります。

語源

それぞれの国よって汚職の定義が違うことがわかりましたが、なぜそのような事態が発生するのでしょうか?

語源を探り、汚職がどのような意味合いを持つのか少し調べました。

 

汚職は英語で“corruption”と訳し、フランス語(corruption)、スペイン語(corrupción)、ドイツ語(korruption)は、それぞれラテン語“corrumpere”(腐る、壊す)からの語源であり、ほぼ同じ意味で使用されている。フィリピンなどでは収賄と汚職を一緒にして表現する場合が多い。インドネシアでは汚職・癒着・縁故主義として、時として3つの種類の汚職を一つの用語として使っている。

汚職行為に対して日本のは「職を汚す」、中国やベトナムでは「貪欲」を追求する、欧米では「職に対する忠誠心を壊す」、東南アジアでは「職を食べる」、イスラム圏では「害を与える」や「上からの収入」という意味を持っています。

 

世界的に見ると、汚職に対するとらえ方や意味合いも国や地域別に異なり、今日国際社会で利用されている“corruption”という語源を一律に利用すると矛盾が生じることがわかります。

 

イスラム圏の「上からの収入」というのは面白いですね。

待っていたらなんかわからんけど降ってきた収入という感じがユーモアがあって面白いです。

 

おわりに

汚職・腐敗のイメージは「何かしら悪いことをする行為」だと思っていました。しかしながら、定義を調べてみると、「公務員」「私的な利益」が関わる不正というイメージを持つことができました。基本的に「公務員」と「私的な利益」という条件が揃い、単純にお金を渡すパターンもあれば、良い役職をあげる手筈を整えることも汚職になるということですね。そうなってくると、不定期な汚職よりも、構造的な腐敗の方が圧倒的にタチが悪いですし、それに気がつかずにずっと腐敗を保ち続ける現象が起きると容易に想像ができます(教員のブラック労働とか)。こうやって調べてみるとかなり興味深い分野ですし、意外と調査している人は多くありません。このシリーズを書いていく予定ですので、興味が湧いたらまた読みに来てください!それではまたねー!

 

今回のまとめ
・汚職とは、制度化されていない「私的利用のための託された権力の悪用」

・腐敗とは、制度に組み込まれた「私的利用のための託された権力の悪用」

・国際的には汚職・腐敗の定義の違いがある。

・その違いは、国々の汚職の捉え方が違うから。

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