ブータン王国の保健体育教育の歴史 2003年の論文から

目次
はじめに
こんにちは!
最近はnoteにも記事を投稿しているので読んでいただけるとありがたいです。
ブータンに関する記事はこちらをどうぞ!
さて、今日はブータン王国の「保健体育教育の歴史 2003年の論文から」についての話をします。
「ブータン 保健体育 歴史」と検索すると、主に青年海外協力隊員たちの活動を見ることができます。
そんな中、私のブータン人の元同僚がブータンの保健体育の現場について論文を書いていたのでこちらで紹介しようと思います。
この記事の対象者は主に
- ブータンに興味がある人
- 教育問題に興味がある人
- 海外のことに興味がある人
です。
この記事でお知らせしたいことは以下の通り!
- ブータン王国で正式に保健体育が始まったのは1999年から。
- 2003年時点では保健体育教育の概念を現場の教員は持てていなかった。
「Implementing Health and Physical Education Curriculum in Primary Schools in
Bhutan: Inhibiting Factors, and Opportunities(2003)」論文の概要
Implementing Health and Physical Education Curriculum in Primary Schools in
Bhutan: Inhibiting Factors, and Opportunities.
上記の論文のデータをもとに考察を深めていきます。
なお、英語論文のため私自身が訳して内容考察を行いますが、上記の表題から原文をチェックすることが可能です。
概要(著者訳)
ブータンの小学校向けの新しい健康体育(HPE)カリキュラムは、1999年の全国22の小学校でのアカデミックセッション中に試験的に導入された。調査の焦点は、HPEが経験した阻害要因と機会を確認することでした。
調査結果では、ブータンのHPEプログラムが適切に実施されるために、HPEの教師は主題の理解を深める必要がある。教師らは、HPEを競争の激しいゲームやスポーツそのものではなく、アクティブで健康的な生活を送るため必要であるということを視覚化して児童生徒たちに見せる必要があります。
→論文の中でも触れられているのですが、ブータン国内で保健体育が始まったのは1999年からです。以前からも身体活動を行う時間はありましたが、国のカリキュラムとして実施はされていませんでした。
本研究では、保健体育教育を実施するにあたって、教員はスキル、時間、資源、支援、指導が不足していることが指摘されています。この文脈的に言うと、この時代は本当に保健体育を指導できる教員がいなかったことがわかります。
具体的に不足しているもの
本研究では,調査対象となった参加者は、カリキュラムを試験的に実施した教師(男性2名、女性2名)、さまざまな学校レベル(小学校2校、PP~6クラス、中学校2校、PP~8クラス)、限られたサンプル数(4)という基準に基づいて選ばれた。2つの学校は都市部に位置し、残りの2つの学校は最寄りの町から離れた小さなコミュニティに位置していた。
⇨4名のみの調査だが2003年当時に行われていた調査なので、保健体育教育というものを理解している教員自体が少ないことが調査数の少なさに影響を与えていると考えられます。日本にいると保健体育教育は自然と教科の中に入り込み、当然のように授業を行なっていますが。ただそれはこれまでの歴史が培ったのもので、過去の積み上げがあるから授業が当たり前にできるということなんですね。
まとめると教員の経験不足
ということが論文からわかるので、
提言として挙げられているのは、以下に項目でした。
- 「教師の理解の必要性」
- 「教師へのサポートとリーダーシップの向上」
- 「より適切なカリキュラムガイドの必要性」
私的考察
2003年時点では本格的にブータン王国の保健体育教育のことを研究しているのはKezang Sherabさんぐらいでした。彼とはパロ教育大学時代の同僚の関係でしたが、2021年の現在でも研究を続けています。
2003年の論文を読む限りでは、これから保健体育教育をブータン王国で実施することは可能なんですか!?というくらいの研究結果だったのですが、私がいた2019年の時点では保健体育教育のための教員養成もしっかりできていたし、現場の授業もある程度は行われていたと思います。
約20年の月日をかけて行われた保健体育教育制度を向上させるための活動は確実に身を結びつつあるのかなと思います。これからもブータン王国の保健体育教育に注目ですね。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回の結論は以下の通りです。
- ブータン王国で正式に保健体育が始まったのは1999年から。
- 2003年時点では保健体育教育の概念を現場の教員は持てていなかった。
2021年の現在ではSchool Sports Instructorたちも学校現場で児童生徒たちが楽しく運動やスポーツができるように活動を続けており、ブータン王国国民の健康状態をより良くしていくための政策が実施されています。
こんな風にブータンの状況を説明する論文をこれからも発表していこうと思いますので、期待してください。
何か他にもリクエストがあれば問い合わせフォームにご連絡お願いいたします!
それでは、ほなね〜!