幸せの国ブータンでも「いじめ」はあります。

はじめに
こんにちは!
最近はnoteにも記事を投稿しているので読んでいただけるとありがたいです。
ブータンに関する記事はこちらをどうぞ!
さて、今日はブータン王国の「いじめ」についての話をします。
私自身はブータンで生活した経験上から「いじめ」はブータンでも当然あるものと思っていたのですが、
「ブータン いじめ」と検索すると、ブータンでのいじめは珍しいものである
といった情報が散見されました。
そんな中、私のブータン人の元同僚がブータンのいじめのついて論文を書いていたのでこちらで紹介しようと思います。
この記事の対象者は主に
- ブータンに興味がある人
- 教育問題に興味がある人
- 海外のことに興味がある人
です。
この記事でお知らせしたいことは以下の通り!
- ブータンでもいじめはある。
- ブータンは幸福を目指している国だ。
ブータンにおけるいじめについての論文の概要
Experiences of Bullying among College Students and Implications for Teacher Formation Programmes
(仮称)ブータン人大学生のいじめの経験:教師養成プログラムへの影響
上記の論文のデータをもとに考察を深めていきます。
なお、英語論文のため私自身が訳して内容考察を行いますが、上記の表題から原文をチェックすることが可能です。
概要(著者訳)
本研究は、ブータンでは初めての試みで、大学生のいじめの経験を調査したものである。本研究では、ブータンにある11の大学キャンパスのうち、8つの大学キャンパスに所属する2471人の大学生(男性=1242人、女性=1191人)を対象に、記述式のアンケート調査を実施した(平均年齢21.5歳)。調査結果によると、大学生にとっていじめは、被害者としても加害者としても、決して珍しいことではないことが判明した。
→論文の中でも触れられているのですが、ブータン国内ではいじめについての新聞記事や国連の調査で行われており、いじめは決して珍しいものではないと結果が出ています。今回の調査では大学生を対象としており、特に教員養成大学であるパロ教育大学の学生により焦点を当てています。
いじめの内容
本研究では,調査対象となったブータンの大学生の3分の1以上(36%)が,人生のどこかでいじめを経験していることが明らかになった。この報告されたいじめのレベルは、報告された海外の研究(15~35%)と同様であった。今回の調査結果は、WHOのブータン学校調査(27%)と合わせて、各国の研究と類似しており、注目に値する。
その結果、男性は言葉によるいじめの被害者になりやすく、身体的・言語的ないじめの加害者にもなりやすいことが判明した。
下記に具体的ないじめの内容を記す。
・性的な意味を持つ名前や人種・肌の色に関連した名前で呼ばれる。
・やりたくないことをするように脅される。
・他の生徒に影響されて嫌われる。
・嘘を言われる。
・活動から外される。
・無視される。
・室内に閉じ込められる。
・殴られたり,蹴られたりする。
・押される。
・お金や物を奪われる。
結論
本研究で得られた知見は、ブータンのみならず国際的にも重要な意味を持つ。キャンパスや学生寮でのいじめ、職員の態度や行動、いじめに立ち向かい、減らし、なくすための効果的な方針や実践があるかどうかなど、大学の環境を徹底的に振り返る必要があることが明らかになった。これは、カリキュラムの中で行われるべきであり、学生支援サービスを通じて、いじめられた経験やいじめた側の経験を語る機会が提供されるべきである。いじめられた者がいじめる側になることが多いので、特に教職に就く学生が言葉や身体による暴力の連鎖を繰り返さないような仕組みを整えることが重要である。
私的考察
やはり私の認識の通りブータンでもいじめは存在しました。
ブータンの大学生の3分の1以上がいじめの経験をしているという結果からも、ブータンでも日常的にいじめが存在することがわかります。
ちなみに日本では
とのことで、日本はさらにいじめが多い国だということがわかります。
また論文の中にもあるのですが、ブータンの教員が子どもを蹴ったり、棒で叩いたりすることもあるので教員養成の段階で、暴力は絶対にしてはいけないということを大学で徹底する必要があると感じます。
外から見れば平和な国のように見えますが、論文を読むと客観的な数値が示されているので冷静に国の状況がわかって興味深いですね。
大学生に向け、このような調査をすることがブータンでは初のようでしたので、この調査を実施しただけでも価値があることだと思います。これから学校現場で教員として働くパロ教育大学の学生たちにとって「いじめ」について考える良い機会だったのではないかと思います。
ある記事でも記述があったのですが(「世界一幸福な国」をめぐる誤解 ブータンで今起きていること)、
「そもそも、ブータンが『世界一幸福な国』というのは誤解です」
長年ブータンを研究してきた早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教・平山雄大氏はそう指摘する。
「正しくは『世界一幸福な国を目指している国』。その目標を実現するための政策の柱がGNHで、幸福というイメージが独り歩きしてこうした誤解が生じたのだの考えられます」(平山氏)
ブータン王国は『世界一幸福な国を目指している国』です。
これからも他の問題、例えばドラッグや労働環境問題などが起きることが予想されますが、その都度ブータン王国は他の国と同様に対処をしていくのだと予想されます。
ただその都度、制作の柱であるGNHに立ち戻って良い国づくりをすることを期待しています。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回の結論は以下の通りです。
- ブータンでもいじめはある。
- ブータンは幸福を目指している国だ。
やっぱりブータンでもいじめはあります。
きっとどんな国でもあるだろうし、その都度人権について考えより良くみんなで生きていく方法を模索する必要があるのだと思います。
こんな風にブータンの状況を説明する論文をこれからも発表していこうと思いますので、期待してください。
何か他にもリクエストがあれば問い合わせフォームにご連絡お願いいたします!
それでは、ほなね〜!